ツバメの巣ストーリー

ツバメの巣ストーリー(8)日本人初 クリーニングルーム 編

ここからは運転手付きの車はありません。トーマス氏自ら運転をして私たちを案内するそうです。そして、今からどこに行くのかと質問すると、まずはツバメの巣のクリーニング場所へ向かうといいます。到着後もスケジュールは直前にしか知らされません。こちらは言われるままです。

当然、道中の撮影は不可であり、クリーニング場所への撮影も禁止です。何度かUターンを繰り返したりしてようやく現地へ到着。どうも私達に道を覚えられないようにするかのような順路です。

そこは、集合住宅のようなビルが並んでいて、そのビルの一群の中にひっそりとありました。ところが、この場所は、他の建物に比べ、有刺鉄線や厳重な鉄の門など、どうみても周囲に比べセキュリティーが異常に厳しいのです。 なんと、出入り口は分厚い2重扉です。しかし、外観からはツバメの巣のクリーニング場所とはとても思えません。外からは全く分からないのです。当然周囲や外観の写真撮影はもちろん不許可です。

分厚い2重扉の入り口を進み入り口を入るとすぐに応接室になっています。そこには本物のツバメの巣と、偽物や混ぜ物のツバメの巣が展示されています。

ツバメの巣比較

偽物のツバメの巣:左側 ツバメの巣のように見えるが海藻やその他の素材で作り上げたもの。右側 ツバメの巣でも最高級と言われている赤ツバメの巣 実は着色している。

聞くと、ここの管理人は住み込みで24時間管理と監視をしているとのことです。

室内の写真も通常は不可であるが、今回は日本に輸入するために検疫所へ提出する調査のため、特別に許可が下りました。

とにかく、何かを撮影するにしてもいちいち許可を取らなければならないのです。

応接室の奥には、営巣(バーズハウス)から採取された羽など異物が混じったアナツバメの巣を、手作業で取り除くクリーニングルームがあります。

クリーニングルーム

こちらも、通常は見ることはできません。ましてや中に入ることは不可能です。今回は、日本への輸入に際して検疫を通す目的なので、特別に許可を受けて入室することができました。

もちろん日本人初の入室です。クリーニングルームに入るために専用ユニフォームを着用します。

室内では帽子を被り、マスクと手袋をした若い女性達が、メスやハサミや歯ブラシを器用に使いこなし、20人ほどが作業に熱中していました。

ツバメの巣クリーニング作業

このような作業を間近で観ることはもちろん初めてです。作業工程を伺うと次の段取りで行うようです。

まずは消毒液で入念に手を洗います。

消毒液

そしてクリーニング済みの専用ユニフォームを着用し、専用の帽子を被ります。

クリーニング帽子

それから医療用のマスクを身に着け、医療用の手袋を着用します。
使用するメス・ハサミ・ピンセットも全て医療用を使用します。
トーマス家のアナツバメの巣のクリーリング室は想像していた以上に衛生的でした。

クリーニング用ミネラルウォーター

また、日本の検疫官が懸念していた水は、飲用に使われるミネラルウォーターを使用しています。

クリーニング作業員

室内では、明るい若い女性達が、ひたすら丁寧にツバメの巣の異物を取り除いていました。

クリーニング作業に挑戦

私たちも、手を消毒し、手袋をはめ、帽子を被り、白衣を着用して、このクリーニング作業を行うという貴重な体験をしました。もちろん日本人初です。これは、本当に根気のいる仕事です。10分もすると目が痛くなってきます。それでも、ツバメの巣自体に異物が少ない方なので、比較的クリーニングは楽だという事ですが、その理由は後に判明します。

ここまでは、厚生労働省福岡検疫所食品監視課が懸念していた内容は全てクリアできています。後、残されたのは、最大の課題であるツバメの巣の営巣(バーズハウス)を直接調査に行くことです。

その日はクリーニングルームの調査で終了であり、トーマス氏の友人が経営しているポンティアックのホテルで宿泊です。ホテルのビュッフェで夕食を済まし部屋で休んでいると、トーマス氏が出かけようと誘ってきました。言われるままに出かけますと、暗いくら~い路地裏を歩き、何とも言えないうす暗い場所につきました。そこにはポツンと屋台らしきものがありました。

トーマス氏は魚を叩いたものを食べさせると言い、私たちを驚かそうという事が分かりました。屋台でだされたものは、なんとスルメイカです。要は日本のあたり目と同じです。スルメイカの干物をこん棒で叩いて柔らかくし火で炙って酒の肴にするのです。インドネシア・カリマンタン島のポンティアックの夜に暗い路地裏の屋台でビールとあたりめで一杯やるなど想像すらできませんでした。

ここでも翌朝4時に大音響が街中に響き渡りはじめます。そうです。コーランの放送です。さすがに目が覚めてしまいます。この音響で寝れる人は強者です。
7時30分にフロントで待ち合わせだったので、それまでにシャワーを浴び、今までの内容をレポートをまとめていました。ホテルレストランで一緒に朝食かと思いきや、朝食の前にカフェへ行こうとトーマス氏に誘われます。

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