ツバメの巣ストーリー

ツバメの巣ストーリー(1) 背景の解説 編

60時間と12個の鍵 そして 4mの落とし穴。
ようやくたどり着いた食用ツバメの巣。  商品化までに4年と半年の道のり。
この商品には不思議なご縁のストーリーがあります。「縁」とは誠に不思議です。

人の人生には「出会い」という不思議なものが付いて回ります。その時のご縁が人生に大きな影響を与える事がしばしばです。

まずは実務的な背景を説明します。
最初にストーリーから読み始めても大丈夫です。

インドネシア・カリマンタン島の華僑財閥と知己を得るなど、地方の小さな会社では、まず想像すらできません。インドネシア・カリマンタン島の華僑財閥ファミリーのトーマス氏との出会いはまさにそうです。このご縁から私は、幸運にも東南アジアにおける華僑の人脈ネットワークとその力の源泉を知ることになりました。

食用のツバメの巣といわれるのは、正式には東南アジアの限られたエリアに生息するアナツバメの巣の事です。これは、繁殖期になると、雄のアナツバメが自分の唾液のみで巣作りを行います。小さなお椀のかけらのような白っぽい巣は、実は雄の唾液で作られたものです。

日本でツバメの巣と聞けば、春先から初夏にかけて軒先に土と藁でつくられたツバメの巣を思い浮かべます。
しかし、東南アジアや大陸では、古来より美容と健康に大変よいと言われる高級品を思い浮かべます。そして、その効果も非常に期待できることから、古くから王侯貴族を始め、富裕層には大人気です。シンガポールでは専門の漢方薬局で生薬として販売されています。

食用ツバメの巣は高級中華料理に使われることから、巣の産地は中国と認識している日本人は多いのですが、これは誤った認識です。確かに人口比からすると中国大陸本土で消費されるツバメの巣の量は確かに多いです。しかし、食用のツバメの巣の産地は、実は中国本土ではありません。一番の産地は、インドネシアです。その世界シェアは市場の約80%になります。残り約20%がタイ、マレーシア、ベトナム、ミャンマーとなっています。

日本は、グルメ番組は豊富に放映されています。多くのタレントさんや俳優さんの食レポが豊富にあります。また、世界中から一流の食材が輸入され、美味しいミシュラン星のレストランもたくさんあります。しかしながら、食用ツバメの巣の食レポは私自身今まで聞いたことはありません。そして日本では、ツバメの巣の料理は、一般の中華料理店で取り扱っている訳ではなく、一部の高級中華料理店のメニューでしかお目にかかれません。
さらにいうと、日本人の99%が本物のツバメの巣そのものを見たことがありません。
また食べたこともありません。ですので、まず形が想像できません。ましてや、味や触感などは分からないのが実情です。

ツバメの巣を食べるというと・・・日本人はどうしても軒先の土とわらで出来たツバメの巣をイメージしがちで、それらがどうして食べられるのだろうか~と疑問を持ちがちです。

日本にあるツバメの巣と私達が取り扱うツバメの巣は全く違うものです。

よく誤解される主な理由が3つ考えられます。

1つ目
食用ツバメの巣は全て天然のものです。そして年間の採取量には限りがあります。需要は東南アジアおよび中国大陸が断然多いです。これらのエリアは、昔からツバメの巣を食べる習慣があります。だから、大変多くの需要があり消費されます。そういう背景から、巣の本当の良さを知らない日本に面倒な手続きをして輸出する必要性がありませんでした。

2つ目
食用ツバメの巣は、その特性から偽物や混ぜ物が実に多いという現実です。

食用ツバメの巣は東南アジア及び中国大陸の富裕層では大変な人気です。価格は大変高価であり1㎏日本円で約60万円します。美容と健康や長寿を重視する富裕層は、日常的に食べています。また、春節などのお祝いに高額贈答品として一般的に利用されています。そのため、この春節時期はマーケットの価格は上昇します。

このような背景から、どうしてもアンダービジネスが暗躍してきます。
食用ツバメの巣は、雄の唾液から出来たという特質を逆さに利用して、白く粘度のある他の物質を探して試し、様々な方法で偽物や混ぜ物が多くつくられて市場で販売されているのが実情です。

このような事は、日本人には俄には信じられませんが、実は、日本への輸入に際して厚生労働省検疫所の検査で偽物や混ぜ物が発見され、輸入不許可になったケースが多々あります。
例えば、巣の色をごまかすため、漂白剤を使って真っ白にすることや、基準値を大幅に超える保存料を添加したものです。もちろん検査で発見されたものは、日本国内には入っていませんが、検査受けなかったものや、手荷物で持ち込まれたものは分からずに入ってきます。

3つ目
グルメ通と言われる人々でも、正真正銘本物のツバメの巣の現物を見る機会は日本では少ないのが実情です。食用ツバメの巣の料理を提供するお店も限られ、そのために食レポが今までほとんどありません。

以上の3つの理由が存在するのは以下が背景にあります。

食用ツバメの巣は、産地国の政府により厳格に管理されています。例えばインドネシアでは、インドネシア政府森林省と農業省の正式許認可を受けてはじめて輸出されます。
さらに、日本への輸入に際し、正式に厚生労働省の検疫と通関を通して輸入されます。

厚生労働省検疫所への事前相談時には、次の事が必要でした。

 食用ツバメの巣の現地での採取状況
 採取後のクリーニングの方法
 クリーニングする際の道具はどういうものか?
 クリーニングで使われる水はどのような環境でどのようなものか?
 以上の事が分からなければ相談できない状況。でした。
 逆に言いますと、輸入される食材が安心安全に日本国民に食べられるように、日本の行政は輸入する食材に対して厳しく監視しているということです。

以上の事柄を全てクリアした所が今まで無かった事が判明しました。
そうです。食用ツバメの巣を安定的に輸入できる所が今まで日本国内に無かったのです。当然日本人に幅広く認知され、その良さを分かってもらえる状況ではありませんでした。

日本で食用のツバメの巣というと、およそ次のようなイメージを思い浮かべると思います。
「海沿いの高い壁や密林の中の洞窟で、高い場所まで竹の足場を組み、危険を顧みず食用ツバメの巣を採取する姿を。実際テレビの取材や雑誌では、そのような場所を取材し撮影されています。また、現地で食用ツバメの巣を購入する際にも危険な場所で採取されたものだから貴重で高価であるということを力説されます。」

しかし・・・実情は変化しています。
まず、テレビクルーや雑誌の取材者は、本当に流通している食用ツバメの巣の採取地には行けません。

それは次の理由からです。

食用ツバメの巣は大変貴重であり高価です。
食用ツバメの巣の農家は、採取場所はとにかく秘匿します。それは、場所が知られると武装した盗賊に襲われるからです。ですから、一部の採取地ではライフルやマシンガンで武装した人に守られている場所もあります。 テレビクルーや雑誌の取材者が行けるところは、実は撮影用に予め用意されたところなのです。そのための政府より依頼されたコーディネーターも存在します。

古い時代は、高い崖や、洞窟内で食用ツバメの巣は採取されていました。そして、高い所から落下し大怪我だけでなく、命まで落とした方がいたのは事実です。
そのような危険を無くし、安定的に食用ツバメの巣を採取できないかと考えるのは知恵のある人間の成し得る技です。

長年ツバメの特性のじっくりと観察し調査し、どのような環境でどのような状況であれば巣作りが可能かを、試行錯誤を繰り返しながら出来上がったがバーズハウス(Bird’s House)という専用の営巣です。ようするに、これは天然のツバメが安心安全に巣作りをして子育てができる場所を人間が建設します。そして、子育てが終わり旅だった後の巣を農家が採取する。安全に育った場所なので、巣だったツバメが戻って来て再度巣作りを行います。

この地道な工程を数年続ける事で、良質なツバメの巣が安定的に採取できるのです。

しかし、バーズハウスという営巣を作ったからといって、必ずそこにツバメが巣をつくるとは限らないのが自然界の厳しさです。

ツバメが巣をつくる場所や方法は、本当にマル秘のノウハウとなります。

自然界にいるツバメが安心して巣作りしてくれる営巣を建設するまでには、非常に大変な努力が必要なのです。 ようやく安心して居着いてくれても、何かツバメが危険を感じれば、もう二度と戻ってこなくなるのです。

この営巣のツバメの巣の事を「養殖」という方がいますが、残念ながらツバメの巣の本当の実情を知らない方の勘違いです。

天然のツバメを養殖することなど出来ません。
あくまで天然のツバメが安心して居心地がよい環境を提供することで、居着いてもらえるだけです。

確かに今でも高い崖や洞窟内の高い所から食用ツバメの巣を採取する場所はあります。
しかし、それは観光用や撮影用に保存されている場所でもあり、また、行政の管理の基で年に数回ほど税金を支払う事で採取できる場所もあります。

そのような事から、崖や洞窟内で採取される食用ツバメの巣の採取時期が決まっているため、マーケットでのシェアは約5%ほどです。

世界のマーケットに出回っている本物の食用ツバメの巣の量を考えると、高い崖や洞窟内の巣だけで賄うことは残念ながら不可能です。
ツバメの巣1つは4g~8gです。これは国によってツバメの種類大きさが違うからです。

市場で5%のシェア?!なので、洞窟内のツバメの巣は貴重では?!と思われるかもしれません。が、実は、そうではないのです。

シェアが5%になっている理由があります。
それは、東南アジアの高温多湿の気候が影響します。まず、洞窟内では雑菌繁殖の好条件です。コウモリなども生息し、直接洞窟の壁面に作られる巣は雑菌の繁殖率が高くなります。
高い崖は風雨にさらされる事もあり危険です。そして危険な高い場所で採取するのは非効率です。手間もかかり採取する量も限られます。なにより高温多湿の地域の天然の洞窟ですから地面はツバメやコウモリの糞だらけで不衛生というのは想像に難くありません。

危険と不衛生と安定供給の問題を解決するため、バーズハウスという専用の営巣が開発され運用されているのです

東南アジアの高温多湿の気候に耐えうるように、営巣(バーズハウス)はコンクリート製の建物です。高さは国により、また営巣(バーズハウス)を作る農家の実情にもよりますが、ビルの2階から5階建ほどの高さです。
内部は、親ツバメが巣を作りやすくするために、天井に木枠を設置しています。その木枠に雄ツバメの唾液のみで巣作りを行います。

営巣(バーズハウス)の高いところには小さな窓がたくさんありますが、これはツバメの出入り口です。高い場所の小さな穴は外敵の侵入を防ぎます。
では、営巣(バーズハウス)建築すると、直ぐにツバメがそこで巣作りを行うかというと、そんなことはありません。かなりリスクの高い投資となります。ツバメが安心して巣作りを行うには、その営巣(バーズハウス)のオーナーの培った特殊なノウハウが必要となってきます。

手っ取り早くツバメに巣作りを行ってもらうために、ツバメの糞をわざわざ購入して、営巣(バーズハウス)の床一面にばら撒きます。すると、ここに仲間が巣を作っていると勘違いするツバメが巣を作り始めたりします。糞もツバメを安心させるための手段ですが、不衛生には変わりありません。
しかし、このように努力したからといって、必ずしもツバメがそこに巣をつくるとは限らないのです。まったく巣をつくらなくて廃墟になる可能性もあります。

ツバメの糞があたり一面に撒かれている営巣(バーズハウス)内では、当然のごとく臭いが強烈です。室内に入るにはマスクをしないと結構キツイです。巣作りのために居ついたツバメも当然糞は床に落とします。それゆえに、床一面は糞だらけになります。この糞を集めることで、自家用の農業用肥料として利用しますし、販売用にも利用されます。ほとんどの営巣(バーズハウス)がこの方法を利用しています。

しかし、私たちが取り扱う、トーマス家のツバメの巣の営巣(バーズハウス)内は、それらの営巣(バーズハウス)とは全く衛生管理が違います。まず、室内はマスクをしなくても驚くほど臭いがしません。その理由は、床一面に水を張ったタライを敷き詰め糞はそこに沈殿させます。そして、定期的にたらいの水を交換して室内を衛生的に保つように管理しています。ですから糞の再利用を行っていません。人間の口に入る食べ物であり、高品質のツバメの巣をつくるために徹底した衛生管理を行っています。

アナツバメは習性として、午前10時くらいから、午後14時くらいまで餌を捕食するために営巣(バーズハウス)を出ます。その約4時間の間に専門の職人が専用道具を使い、巣立った後の巣を手作業で1つ1つ採取します。ツバメは音と臭いに大変敏感です。ですから、トーマス氏の営巣(バーズハウス)にはタバコを吸う人は入れません。また、女性でお化粧した方も入れません。ですからトーマス氏の営巣(バーズハウス)で採取する職人さんには喫煙者はいません。これには驚きました。

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