このツバメの巣プロジェクトのパートナーであるT先輩社長は地元の青年会議所の先輩です。そして25年以上のお付き合いです。所属していた青年会議所は韓国の金海(きめ)青年会議所と40年以上の姉妹提携関係です。毎年相互で小学生のホームスティ事業を行っています。日韓関係がギクシャクした時でも、全く中断せず行ってきました。そして、その交流事業の中で、T先輩社長は金海青年会議所メンバーの崔氏と知り合って30年以上の親友関係です。
崔氏は大の親日家!今では毎月来日され日本食や日本酒を堪能するほどの親日ぶりです。何よりかわいい一人娘を日本人と結婚させてもよいと思っているほどの方です。そのご令嬢がシンガポールで仕事をしていた時、カリマンタン島華僑財閥のトーマス家の御曹司に見初められ、猛烈なアタックと受けました。
ところが・・・崔氏は大の親日家であると同時に、大の中国人嫌いだったのです。これは、海外の華僑といえども例外ではありません。猛反対のレベルは想像に難くありませんでした。崔氏のご令嬢は大変お奇麗で、聡明な方です。猛反対の末、紆余曲折経てようやく結婚に至る事になったトーマス氏は、義理の父である崔氏には大変な恩義があります。
トーマス家の様々なビジネスをインドネシアで行っています。そのビジネスの一つであるアナツバメの巣は、崔氏のご令嬢がマネジメントするようになりました。今までのツバメの巣ビジネスは、中国大陸や華僑の中国人相手に行っていましたが、同じ中国人、華僑でもビジネスでのトラブルは少なくなかったようです。
そこで、崔氏ご令嬢の提案で日本のマーケットを開拓してはどうかという事になりました。そして、その役回りが私にやってきました。
ここまで、さらっと書きましたが、このような事自体通常あり得ないことです。本当に人の“ご縁”の不思議さを痛感する限りです。
本題に戻りますが、インドネシア・カリマンタン島のツバメの巣の営巣(バーズハウス)を訪問する伝手は、日本ではまずありません。秘匿性が高く、機密の場所を日本人の訪問など受け入れるはずもありません。彼らは今まで行ってきた華僑や中国人相手のビジネスと同じく、通常通りパッキングして輸出すれば良いと考えています。
しかし、日本への輸入には検疫という高いハードルを越えなければなりません。そのためには、先に記載した厚生労働省福岡検疫所の要求通り現地での調査が必要であり、その調査を検疫所へ報告しなければ輸入の可能性ないということを、つたない英語で一生懸命説明しました。
3週間の後、ようやくインドネシア側より受け入れ可能の返答がありました。そこには崔氏の力添えと影響が非常に大きかったようです。
インドネシア側はすごい拒否の姿勢でした。それはそうです。いくら義理の父の依頼といえ、会ったことも話したことも無い日本人を受け入れることなど、逆の立場からしても不可能と思えます。それが来ても大丈夫というのですから・・・
現地に行くにあたり、こちらの考えたルートで行くことは出来ません。先方から指定されたルートで行かなければなりません。当初はインドネシアのジャカルタで待ち合わせて行くことを想定していましたが、ジャカルタの交通渋滞事情は世界ワースト1と言われるくらい酷いということで、まずはシンガポールで待ち合わせという事になりました。
ここから青年会議所の先輩でもあり、今回のビジネスパートナーとなるT先輩との旅が始まります。