ツバメの巣ストーリー

ツバメの巣ストーリー(11)ツバメの巣ハウス 編(お~~マジか~~!)

ようやく営巣(バーズハウス)がある場所に到着しました。時間は現地時間で午後1時30過ぎ。
あれが営巣(バーズハウス)だとトーマス氏が指を指し示した先の建物はビルの5階程の大きな建物です。想像していたものより大きくてびっくりです。そして、小さな窓のようなものがたくさんあります。

ツバメの巣営巣バーズハウス

トーマス氏は、少々急かすように私たちを営巣(バーズハウス)に案内します。それは、先ほど説明したようにツバメの営巣(バーズハウス)に入れる時間は午前10時から午後14時の間だからです。

営巣(バーズハウス)がある場所には従業員専用の寮があります。寮には営巣(バーズハウス)の周りにある家族の一族が住み込みで働いているのです。こんな辺鄙なところでもツバメの巣が雇用を創出しています。

営巣(バーズハウス)の入り口はこの寮の奥にあるとのこと。そこで、寮内を進むと、両サイドに部屋があります。合計20部屋近くだったと記憶しています。当然写真撮影は不可。

部屋の合間には、共同のトイレ・共同のお風呂兼シャワールーム、洗濯場、調理場も含まれます。そして、この寮の通路の終わりが営巣(バーズハウス)の入り口ということですが、そこには営巣(バーズハウス)管理人の事務所兼住宅があるのです。実は、その住宅の中を通って行かなければ、営巣(バーズハウス)の入り口に辿り着けないのです。

従業員の寮の中の通路を通り、その先の管理者の住居を通らないと営巣(バーズハウス)の入り口にはたどり着けないのは、これも強盗の侵入や不審者へのセキュリティーとしての作りになっているのです。どこまで知恵を使ってセキュリティーをしているのか驚かされます。その理由を尋ねると、昔は、武装した強盗に襲撃され、銃撃戦になったこともあるそうです。マジか!

今はどうなの?大丈夫なの? という疑問は当然出てきます。そのままストレートに質問をぶつけると。またもやノープロブレムの一言。
ノープロブレムの理由は、今朝お会いした二つ星の将軍にあります。軍の基地が営巣(バーズハウス)エリアからそれほど遠くない場所にあり、何と軍が近隣をパトロールする時に、同時に営巣(バーズハウス)周辺もくまなくパトロールしているそうです。もちろん軍隊ですから自動小銃など武装してのパトロールです。

二つ将軍とは非常に近しい関係らしく、それで今朝将軍と親しく話し込んでいた理由が分かりました。そういえば、トーマス氏のメインの仕事は建築らしく、軍の基地の建築も多く手掛けているという事です。

さすがに、正規の軍隊を敵に回してまで強盗する輩は現れてないそうです。なぜなら、一度事が起これば、近くの駐屯地から本物の武装した軍隊が押し寄せてきますから。もう本当にアクション映画の世界です。

さて、従業員の家族に挨拶しながら、30mほどある寮の通路を抜けて、営巣(バーズハウス)管理人の事務所兼住宅に入り、ようやく営巣(バーズハウス)の入り口へ到着です。

営巣(バーズハウス)の入り口は頑丈な鋼鉄の扉です。高さは180㎝くらいです。そして扉には何と5つの大きな鍵が上から等間隔で掛けられています。その鍵を直ぐに開けてもらえるのかと思いきや、鍵は実は別のところに保管しているから少し持ってくれとのこと。何と営巣(バーズハウス)の管理者はあくまで監視役であり、鍵は持たされてないのです。鍵はトーマス一族のみが管理しているという徹底した管理体制です。

ワイヤーで通され連なった大きな鍵の束がようやく到着し、おもむろに扉の一番上の鍵から開けていきます。途中3番目の鍵は開けずに4番目と5番目を開けます。最後に3番目の鍵を開け、手首が入るほどの穴から手を入れて、何やらゴソゴソし、ようやく扉が開きました。何と3番目の鍵は裏側から開錠する仕掛け鍵になっていたのです。どれだけ厳重なのか想像できると思います。

その扉を開けて中に入るのかと思いきや、何と奥にもう一つ頑丈な鋼鉄の扉があるのです。高さは160㎝くらいで、この扉には4つの鍵がかけられています。鋼鉄の扉が二重にあり、合計9個の鍵です。セキュリティーの厳重さを想像できると思います。そして、その扉の鍵を上から開けていくのですが、こちらも上から2番目の鍵が何と裏から開錠する仕掛け鍵なのです。ですから、上から順番に鍵を開けていっても扉は開かないのです。これほど厳重に守られるほど、ツバメの巣は貴重なのが理解できます。

そして、2つ目の鋼鉄の扉を開けると・・・何と、さらにもう一つ高さ140㎝くらいの扉があるのです。さらに3つの鍵が掛けられています。もう言葉にならず唖然としてしまいました。さらにその扉の鍵の1つも仕掛け鍵になっていたのです。

3重の鋼鉄製の扉と合計12個の鍵です。そして、その鍵はオーナー一族のみが管理し、営巣(バーズハウス)の管理人でも鍵を預かる事はない! 俄には信じがたい事かもしれませんが、これすべて本当の話です。

さて、ようやく3つ目の扉を開けると、営巣(バーズハウス)の中は真っ暗です。当初大きな鶏小屋をイメージしていたので、においはとても臭いだろう想像していたのですが、不思議と糞のにおいがしないのです。入る前に営巣(バーズハウス)内でのカメラのフラッシュは絶対だめ。大きな声で話すのも禁止という注意事項を再度念押しされてはいります。

中は真っ暗です。なので、案内役の職人さんが慣れない私たちの足元を要所要所で懐中電灯を照らしてくれます。

しばらくすると目が暗闇に慣れてきました。小さな無数の窓から入る光で周囲の様子が少しずつ分かり、糞の臭いがしない理由が判明しました。敷地のあたり一面は、大きなタライに水を溜めていて、ツバメの巣の糞はそこに落とされる仕組みになっています。

そのタライの水を定期的に交換する事で、営巣(バーズハウス)内の衛生面を保っているのです。一面にタライを敷き詰めているので、タライより高いコンクリートの小さい通路があるので、足元に気を付けてそこを歩かなければなりません。一歩間違えるとタライの中に足を入れてしまいそうです。階段を上り、先を進んでいき、天井を見ると、しっかりとツバメの巣白い巣がいくつか見えます。さらに先へ進もうと歩を進ようとした瞬間、「Watch out!!!」とするどく小さい声と同時にトーマス氏に右肩をガツンと掴まれました。足元の先を見ると・・・何とそこに床はありません。

暗いのでよく分からないのですが、雰囲気からして結構な高さはありそうです。もし落ちれば大怪我は免れません。正直ひゃっとしました。その穴は泥棒対策の落とし穴であり、また、ツバメが建物内を自由に回遊できる空間のために設けられたものでした。外のセキュリティーだけでなく、内部にまで落とし穴を作るなど、ツバメの巣の貴重で高価な価値を裏付けるものです。

そして、とある場所に来るとツバメの巣の採取を体験させてくれるという事です。ただし、既に午後14時前であり、ツバメが少しずつ戻ってくる時間なので、時間的に一人だけという事。この日本人初の貴重なツバメの巣採取は先輩に譲りました。先輩は職人さんが用意した大きな脚立に登って採取を開始。ところが、慣れないせいか中々取れません。いったん中断し、暗いので職人さんがお手本を間近で見せて、再度チャレンジ。そして汗だくの中、ようやくツバメの巣を無事採取する事ができました。フラッシュ無しの写真なので、少々ピントがボケましたが、しっかり証拠写真は収めました。

バーズハウス内部1 バーズハウス内部2

無事ツバメの巣採取の体験も終え、営巣(バーズハウス)を後にする事になります。帰りにはさすがに暗闇に目が慣れてきて、先ほどの落とし穴の巨大さにあらためて驚き、生理的恐怖を感じました。何と高さが4m以上もあるのです。

もし、そこに落ちていれば、大怪我どころでは済まないと思います。下手するとあの世行き。正直ぞっとしました。侵入者なら確実に落ちると思います。

出入口に向かうにあたり、一面に水をはったタライの衛生管理に感嘆しつつ階段を下りて戻って来ました。途中職人さんは、何度もスポット的に懐中電灯を照らし、不審者がいないかを確認しながらの撤収ぶりには驚くしかありません。最後の最後まで周囲を確認しつくしてから、扉を閉めたのです。そして、仕掛け鍵をかけて、合計3つの鍵をかけます。そして二つ目の扉も同様にし、最後は入り口最初の扉の5つの鍵をかけて終了です。30分足らずの時間でしたが、世界初のとても貴重な体験をしました。

その後周囲を散策し、厚労省の検疫官に説明が必要なのでいくつか写真をお願いして、特例中の特例で写真を撮ることができました。

バーズハウス周辺1 バーズハウス周辺2

その後、街から少し外れた小高いコテージ風のホテルへチェックインし、ローカルのインドネシア料理を堪能する事になります。

宿泊所は小高い丘のコテージの最上階です。夕方からは風が涼しく本当に気持ち良いです。ここのテラスで飲むギネスビールとハイネケンは格別でした。

 

 

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