ツバメの巣ストーリー

ツバメの巣ストーリー(2)暗中模索 編

《60時間と12個の鍵 そして 4mの落とし穴。危険を乗り越えて、ようやくたどり着いた食用ツバメの巣》

ツバメの巣を日本へ輸入するにあたり、まずは何をどうのようにしてよいのか皆目分かりませんでした。そこで、長年加盟している公益社団法人北九州貿易協会のアドバイザーに相談することにしました。

私「ツバメの巣をインドネシアのカリマンタン島から輸入したいのですが、どのような手続きが必要ですか?

協会アドバイザー「??? えっ? ツバメの巣をどうするのです?」

私「食用のツバメの巣を日本に輸入して販売したいのですが・・・」

協会アドバイザー「えっ? 泥と藁で出来たツバメの巣を食べるのですか???」(とても驚かれる)

私「いえいえ、違います。高級な中華料理に使われるツバメの巣です。アナツバメという種類のツバメで、日本のツバメとは種類が異なります。ツバメのオスの唾液のみで作られた白っぽいものです。」

協会アドバイザー「さぁ~ 初めてのことなので分かりませんね。 すみませんが、税関に尋ねてみてはいかがですか?」

そこで、所轄の税関は門司税関。
税関へ連絡して輸入に関して問い合わせます。

私「インドネシアからアナツバメの巣を輸入したいのですが、どのような手続きが必要ですか?」

税関担当者「そのツバメの巣は検疫を通っていますか?」

私「検疫ですか?・・・ツバメの巣の輸入は初めての事で、どうすればよいか分からないので尋ねている状況です。」

税関担当者「まずは検疫を受けてください。管轄は厚生労働省福岡検疫所食品監視課に連絡してください。」

公益社団法人北九州貿易協会 ⇒ 門司税関 ⇒ 厚生労働省福岡検疫所 と繋がります。

そこで、ようやく最初のハードルである検疫所に辿り着きます。(2015年1月中旬頃)
検疫所には電話で事前に日時のアポイントメントを取り、厚生労働省福岡検疫所へ訪問。

厚生労働省福岡検疫所食品監視課にて
私「インドネシアより食用ツバメの巣を輸入したいのですが、どうすれば輸入出来ますか?」

食品監視課「そのツバメの巣にはどのような成分が入っていますか? 以前ツバメの巣の輸入時に安息香酸・ソルビン酸等が基準値を大幅に超えているものがあり、輸入不許可になっています。」

私「検査はまだしていません。輸入する前に何が必要で、どうすれば良いのかを尋ねに来ました。」(ちなみに、検疫所までは高速道路をつかい往復で約3時間)

食品監視課「どのような成分が入っているかが分からないと話は進められません。」
と、いうことで門前払いに近い形で帰路に就くことになりました。

さっそくツバメの巣を分析してもらえる検査機関を探すが、どこに依頼すればよいかさえ皆目見当もつかなかったのが実情です。

ネットやタウンページでくまなく探し、様々な試験試薬を行っていそうな所へ、とにかく電話して成分分析について尋ね回りました。
中にはツバメの巣など今まで手掛けたことはなく、初めてのケースで断られることもしばしば。
ようやく公益財団法人北九州生活科学センターが試験を行って頂けるという事でセンターまで出向きます。(2015年2月初旬)

ツバメの巣を取り扱うのは初めての事なので、どこまで出来るかは分からないが、検疫所の判断基準となる安息香酸、ソルビン酸、二酸化イオウの有無の検査は出来ると思うという事です。そこを重点的に依頼し、通常の食品に関する試験もお願いしました。
そしてサンプル用に入手した数少ないツバメの巣を渡すことにしました。

安息香酸とは、食品衛生法により許可された防腐殺菌剤です。国内では醤油などに用いられます。
ソルビン酸とは、広範囲の微生物に抗菌性を持つ保存料です。
二酸化イオウとは、食品の色調を整えるため、原料などに含まれる好ましくない色素成分や着色物質を無色にして白く、きれいで鮮明な色調に整える目的で使用されます。

試験は通常1週間くらいですが、初めての事であり、2週間の期間が必要との事。とても待ち遠しい長く感じた2週間でした。 (2015年2月24日)

2週間後に試験結果が出たとの報告を受け、さっそくセンターへ出かけます。嬉しいことに安息香酸、ソルビン酸、二酸化イオウの試験結果はすべて「NA 検出せず」。でした。定量限界以下ではなく、全く検出されなかったのです。

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